012 咀嚼と嚥下(もぐもぐごっくん)を比べてみよう

運動、と言うと、身体を動かすイメージなのではないかと思うのですが、口の動きも運動のひとつです。人間の顔には多くの筋肉があって、筋肉の動きで口をもぐもぐして咀嚼します。そして飲み込みます(飲み込みも筋肉)。発語のときも筋肉を使っています。それらの筋肉を、脳からの神経の指令で動かしているわけです。

生後半年くらいから離乳食を始めるのが一般的ですが、そのときに、硬さの段階分けがありますね。量や質感を、離乳食講座や本で学ぶ人が多いと思います。その段階分けに月齢分けが多いことがずっと気になっていました。

はいはいを始める月齢に差があったり、そもそも生まれた時の身長や体重など、子どもには個性があるので、口の動きも月齢できれいに分類できるわけではありません。

比べてみましょう。下顎の動き方と、舌の動きに注目です。

つぶしたバナナくらいのものを食べる時期から、見てみます。 あむあむ上下に下顎を動かしていますね。口に入れて、なんとか飲み込む方向へそのまま食べ物を流し込むような動きです。 (これより以前は、この上下の動きによる喉への移動もなかなかうまくいかないので、自然に流れ込むやわらかさのものを食べることになります。)

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その1ヶ月後くらい。下顎を横に動かして「すりつぶす」ような動きができるようになってきています。ただ、まだ舌の動きはあまりないので、歯ぐきだけでつぶせるような柔らかいものの時期です。

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そのまた2ヶ月後くらい。口の中で舌を使って、たべものを移動させることもできるようになってきます。ここまでくると、少し形のあるものでも口の中で適切に動かしてつぶすことができるでしょう。

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口の動きの発達に合わせた離乳食をえらぶと、子どもの「食べやすさ」にもマッチするので、食欲の向上とも関連してくるかもしれません。

「食べる」という行為には、唇の動きや、歯の生え方や、座り方や、食べ物への意欲と好奇心等も関わってきますが、生きて行く上でとっても大切な能力なので、その変化をよーく観察したいものです。