6日目・7日目

洗車機の中にいるような雨に出会って、でも、5分走らせたらそこは地面も濡れていなかった。ここは山だ、と思った。雲は、気温差のあるところで生まれる。

雨や雲や風は、平穏の中には現れない。特攻を神風と呼んだのも、その場の空気を乱すための作戦だったからだろうと思う。

数年前に訪問していた患者さんは回天操縦の教官だった。固い鉄の塊の中には柔らかい人間が入っていた。風を起こすための熱量は、人間が担っていた。

8月はメディアに戦争の話が増える。わたしもいわさきちひろの美術館で戦争の頃の彼女について読んでいた。

ツイッターに『1945年8月15日のお昼御飯が気になってしかたない』というつぶやきを見つけて、本当にそうだと思った。歴史にあるのは月単位の事実ではなくて、一日三食朝昼晩の、絶え間ない日常だ。

食卓を囲み何を思い、何を話したか。話さなかったか。そういうことに思いを馳せるには、自分がそれを大切にしていなければならない。

いい夏休みを過ごしている。